K-REACHとは?――韓国の化学物質登録・申告と2027年登録期限を解説【2026年版】

韓国へ化学品を輸出する企業にとって、確認が欠かせない化学物質規制の一つが「K-REACH」です。

EU REACHと名称や基本的な考え方に共通する部分がありますが、登録・申告の基準や登録猶予期限、国外メーカーが利用できる代理人制度などは韓国独自の仕組みです。

そして2026年現在、特に確認しておきたいのが年間10トン以上100トン未満の既存化学物質です。この数量帯の登録猶予期限は2027年12月31日。年間1トン以上10トン未満についても、2030年12月31日に期限を迎えます。

本記事では、新規・既存化学物質の違いから、登録と申告、登録猶予期限、登録に必要となる情報、さらに国外メーカーが利用できるOR(Only Representative/唯一代理人)の仕組みまで、K-REACHの全体像を整理します。

K-REACHとは?

K-REACHは、韓国の「化学物質の登録及び評価等に関する法律」に基づく化学物質管理制度です。

化学物質の登録・申告、有害性やリスクの評価、化学物質情報の伝達などについて定めており、韓国で化学物質を製造・輸入する際の重要な規制となっています。

日本企業が韓国へ化学品を輸出する場合、まず整理したいのは次の3点です。

まず確認したい3つのポイント
① 新規化学物質か、既存化学物質か
② 韓国での年間製造・輸入量はいくらか
③ 誰が登録・申告を行うのか

特に重要なのが、新規化学物質と既存化学物質の区分です。

新規化学物質と既存化学物質では何が違う?

2026年5月12日施行の現行法では、原則として年間1トン以上の新規化学物質または既存化学物質を製造・輸入する場合、製造・輸入前の登録が必要です。

一方、新規化学物質については、年間1トン未満であっても対応が不要になるわけではありません。年間1トン未満の新規化学物質を製造・輸入する場合には、製造・輸入前の申告が必要です。

基本的な考え方を整理すると、次のようになります。

区分 年間数量 基本的な対応
新規化学物質 1トン以上 登録
新規化学物質 1トン未満 申告
既存化学物質 1トン以上 登録※
既存化学物質 1トン未満 原則として上記の登録対象外

※既存化学物質には、数量帯等に応じた登録猶予制度があります。

POINT
「年間1トン未満だからK-REACHへの対応は必要ない」と一律に判断することはできません。まず新規化学物質なのか既存化学物質なのかを確認し、そのうえで年間数量を見る必要があります。

2026年に確認しておきたい「2027年登録期限」

現在のK-REACH対応で特に注目したいのが、既存化学物質の登録猶予期限です。

K-REACHでは年間製造・輸入量などに応じて段階的な登録期限が設定されています。

年間製造・輸入量等 登録猶予期限 2026年時点
1,000トン以上等 2021年12月31日 終了
100トン以上1,000トン未満 2024年12月31日 終了
10トン以上100トン未満 2027年12月31日 期限接近
1トン以上10トン未満 2030年12月31日 猶予期間中

現行施行令では、10トン以上100トン未満は2027年12月31日、1トン以上10トン未満は2030年12月31日が期限とされています。

2026年の実務ポイント
年間10トン以上100トン未満の既存化学物質を韓国へ輸出している企業にとって、2026年は2027年末の登録期限を見据えて現在の対応状況を確認する時期です。対象物質、年間数量、現在の申告・登録状況、保有しているデータなどを確認し、必要な準備を進める必要があります。

「登録猶予中=何もしなくてよい」ではない

ここはK-REACHを理解するうえで重要なポイントです。

登録猶予期間が設定されている既存化学物質については、その期限まで何も対応しなくてよいわけではありません。

登録猶予期間中に登録をせず製造・輸入する場合には、製造・輸入前の申告が必要です。

法律では、申告事項として化学物質の名称、年間製造・輸入量、分類・表示、用途などが定められています。

登録猶予期間中に確認したい項目

確認項目 主な内容
物質 対象となる化学物質は何か
年間数量 韓国での年間製造・輸入量
用途 韓国内でどのように使用されるか
分類・表示 申告情報との整合性
輸入者 誰が韓国へ輸入しているか
登録状況 登録済み・猶予中・未対応のいずれか

また、年間製造・輸入量が「1~10トン」「10~100トン」「100~1,000トン」「1,000トン以上」といった数量帯をまたいで変化する場合には、変更申告が関係することがあります。

輸出量が増えている製品では、過去の申告内容をそのままにせず、年間数量を継続的に確認することが重要です。

K-REACH登録では何が必要になる?

K-REACHの登録は、物質名と年間数量だけを申請する手続ではありません。

登録では、製造・輸入者の情報に加え、物質の識別情報、用途、分類・表示、物理化学的性状、有害性などに関する資料が関係します。対象物質や条件によって、必要となる資料の範囲も変わります。

「登録が必要=すべての試験を新しく実施する」ではありません。

まず既存の試験データや利用可能な情報を確認し、登録に必要な情報との間に何が不足しているのかを整理します。

既存データの確認 → 必要資料の整理 → データギャップの確認 → 必要に応じて追加データ・試験を検討

最初から試験項目を決めるのではなく、現在保有しているデータを確認することが出発点になります。

日本企業は誰が登録する?

日本メーカーが韓国へ化学物質を輸出する場合、もう一つ重要なのが「誰がK-REACHに対応するのか」です。

韓国側の輸入者が登録・申告を行う方法がありますが、K-REACHには、国外の製造・生産者が韓国内の一定の要件を満たす者を選任し、輸入者に代わって必要な手続を行わせる制度があります。

一般にOR(Only Representative/唯一代理人)と呼ばれる仕組みです。

K-REACH第38条では、国外の製造・生産者が韓国内の者を選任し、登録・申告、登録等免除確認、変更登録・変更申告などを行わせることが認められています。

輸入者対応とOR対応

韓国側輸入者が対応 ORを選任
登録・申告 輸入者が対応 ORが対応
複数の輸入者 輸入者ごとの対応が中心 ORを中心に管理可能
物質情報 輸入者への情報提供が必要になる場合がある ORを介した管理が可能
メーカー側の管理 輸入者との連携が中心 メーカー側で規制対応を管理しやすくなる

ただし、ORを選任すればすべての輸入取引が自動的にカバーされるという意味ではありません。対象物質、年間数量、韓国側輸入者、登録・申告状況などを適切に管理する必要があります。

また、ORの業務範囲や費用、登録後の管理、将来的な変更などについても、選任前に確認しておくことが重要です。

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K-REACH対応は、何から確認すればよい?

韓国への輸出を検討する際、いきなり「どの試験が必要か」「登録費用はいくらか」から考える必要はありません。

まずは順番に整理します。

STEP 1 物質を特定する

CAS番号、物質名、組成など、対象となる化学物質を整理します。

STEP 2 新規か既存か確認する

K-REACH上で新規化学物質なのか既存化学物質なのかを確認します。

STEP 3 年間数量を確認する

韓国での年間製造・輸入量を確認します。特に既存化学物質では、1トン、10トン、100トンなどの数量帯が登録期限や対応を考えるうえで重要になります。

STEP 4 現在の登録・申告状況を確認する

すでに登録されているのか、登録猶予期間中なのか、申告が行われているのかを確認します。

STEP 5 誰が対応するか整理する

韓国側輸入者が対応するのか、国外メーカー側でORを選任するのかを検討します。

STEP 6 必要なデータを確認する

現在保有しているデータを確認し、登録に必要な情報との差分を整理します。そのうえで初めて、追加試験やデータ取得の必要性を検討します。

TICNOLOGY JAPAN VIEW

K-REACH対応では、単に「韓国へ輸出するから登録が必要」と考えるのではなく、物質・数量・期限・対応主体・データを分けて整理することが重要です。

特に2026年は、年間10トン以上100トン未満の既存化学物質について、2027年12月31日の登録猶予期限が近づいています。一方、1トン以上10トン未満には2030年までの猶予がありますが、猶予期間中にも申告などの対応が必要です。

したがって、最初に確認すべきなのは、

「何を試験するか」ではなく、「自社の物質がK-REACH上でどの位置にあり、いつまでに、誰が、何をする必要があるのか」

です。

そのうえで、既存データで対応できる範囲と不足している情報を確認し、登録支援、OR、試験など必要な対応を組み合わせていくことになります。

TICnology Japanでは、対象物質、年間数量、輸出条件、既存データ、現在の登録状況などを整理したうえで、OR、登録支援、必要な試験を含め、条件に適した対応方法・対応先の比較検討をサポートしています。

CONSULTATION

K-REACHへの対応について、対象物質、年間輸出量、既存データ、現在の登録・申告状況などを整理したうえで、OR、登録支援、必要な試験を含む対応方法・対応先の検討をご相談いただけます。

参考情報
韓国 国家法令情報センター「化学物質の登録及び評価等に関する法律」
韓国 国家法令情報センター「化学物質の登録及び評価等に関する法律施行令」
韓国 国家法令情報センター「化学物質の登録及び評価等に関する法律施行規則」

※本記事はK-REACHを含む化学物質規制に関する一般的な情報を整理したものであり、個別案件に対する法的助言を目的とするものではありません。実際の対応にあたっては、最新の法令・当局情報および個別の取引条件をご確認ください。

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