韓国RoHS(K-RoHS)とは?――対象製品・10物質・基準値をEU RoHSとの違いから解説【2026年版】

韓国へ電気・電子製品を輸出する際、「韓国にもRoHSはあるのか?」と疑問を持つ企業は少なくありません。

一般に「韓国RoHS」「K-RoHS」と呼ばれる制度がありますが、韓国に「RoHS」という名称の法律が存在するわけではありません。

その中心となるのが、韓国の「電気・電子製品及び自動車の資源循環に関する法律」です。

この法律では、対象となる電気・電子製品や自動車について、鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、難燃剤、フタル酸エステル類などの有害物質の含有を制限しています。さらに、単なる有害物質規制だけでなく、製品設計から廃棄・リサイクルまでを含む「資源循環」を目的とした制度となっています。

本記事では、2026年時点の韓国RoHSについて、対象製品、規制10物質、基準値、EU RoHSとの違い、日本企業が輸出前に確認すべきポイントを整理します。

韓国RoHS(K-RoHS)とは?

韓国RoHSの中心となる法律は、「電気・電子製品及び自動車の資源循環に関する法律」です。

英語では一般に、Act on Resource Circulation of Electrical and Electronic Equipment and Vehiclesなどと表記されます。

法律の目的は、電気・電子製品や自動車について、有害物質の使用を抑制するとともに、リサイクルしやすい製品設計や廃棄後の適正な再資源化を促進し、資源循環体系を構築することにあります。

したがって、韓国RoHSを単純に「韓国版EU RoHS」と考えると、制度全体を正確には捉えられません。

韓国RoHSの基本的な考え方

有害物質の使用制限
+
リサイクルしやすい製品設計
+
廃製品の回収・再資源化

つまり、有害物質の使用制限が、より広い「資源循環」の仕組みの中に組み込まれているのが韓国制度の特徴です。

EU RoHSと韓国RoHSは何が違う?

韓国RoHSとEU RoHSには多くの共通点がありますが、制度の成り立ちや対象範囲は同一ではありません。

基本的な違いを整理すると、次のようになります。

EU RoHS 韓国RoHS
制度 RoHS Directive 電気・電子製品及び自動車の資源循環に関する法律
主な考え方 電気・電子機器の有害物質使用制限 有害物質制限+資源循環
電気・電子製品 対象 対象
自動車 RoHSでは原則対象外 法律上の対象に含まれる
規制物質 10物質 電気・電子製品は10物質
含有基準 均質材料単位 同一物質単位
リサイクル関連 WEEE等の別制度と連携 同じ法律体系の中で規定
POINT
EUではRoHSと廃電気電子機器の制度が分かれているのに対し、韓国では有害物質規制と資源循環を一つの法律体系の中で扱っていることが大きな特徴です。

韓国RoHSの規制物質は「10物質」

電気・電子製品については、現在10物質が規制されています。

規制物質 基準値
鉛(Pb) 0.1%以下
水銀(Hg) 0.1%以下
六価クロム(Cr6+) 0.1%以下
PBB(ポリ臭化ビフェニル) 0.1%以下
PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル) 0.1%以下
DEHP 0.1%以下
BBP 0.1%以下
DBP 0.1%以下
DIBP 0.1%以下
カドミウム(Cd) 0.01%以下

韓国では2021年からDEHP、BBP、DBP、DIBPの4種類のフタル酸エステルが加わり、電気・電子製品についてはEU RoHSと同じ10物質が規制対象となっています。

カドミウムを除く9物質は0.1%以下、カドミウムは0.01%以下が基準です。

「製品全体で0.1%」ではない

ここは実務上、非常に重要です。

韓国の基準は、完成した製品全体の重量に対する濃度ではありません。

施行令では「同一物質」を基準としており、ネジを外す、切断する、圧着する、破砕する、研磨するなどの機械的方法によって分離できない単一形態の材料として定義されています。

プラスチック、セラミック、ガラス、金属、合金、紙、合成樹脂、コーティングされた材料などが例として挙げられています。

POINT
EU RoHSにおける「homogeneous material(均質材料)」に近い考え方です。したがって、「完成品全体を測定して0.1%未満だった」というだけでは、適合判断として不十分な場合があります。

韓国RoHSの対象となる製品は?

韓国法では、すべての電気・電子製品が一律に有害物質使用制限の対象になるわけではありません。

法律上の電気・電子製品は、電流や電磁場を生成、移動、伝送、測定したり、それらによって作動する機械・器具とされ、部品・付属品も定義上含まれています。

一方、有害物質使用制限の具体的な対象については、施行令に基づいて確認する必要があります。

「電気で動く製品だから韓国RoHS対象」と単純に判断しないことが重要です。
まず、自社製品が韓国の法令上、有害物質使用制限の対象となる製品に該当するかを確認します。

対象外となる電気・電子製品もある

現行制度では、有害物質使用制限の対象から除外される電気・電子製品も規定されています。

代表的なものとして、次のような製品があります。

  • 自動車部品として使用される電気・電子製品
  • 軍需品または国家安全保障分野で使用される一定の製品
  • 大型固定式産業機器
  • 大型固定設備
  • 一定の医療機器

ここもEU RoHSとの比較で注意したいポイントです。

「EU RoHSで対象だから韓国でも対象」「EUで除外だから韓国でも除外」とは限りません。韓国側の法令に基づいて対象範囲を個別に確認する必要があります。

自動車は電気・電子製品とは規制物質が違う

韓国の制度を理解するうえで、もう一つ重要なのが自動車です。

対象となる自動車には、乗用車、一定の乗合自動車、軽・小型の貨物自動車などが含まれます。

ただし、自動車について電気・電子製品と同じ10物質が規制されているわけではありません。

自動車の規制物質 基準値
鉛 0.1%以下
水銀 0.1%以下
六価クロム 0.1%以下
カドミウム 0.01%以下
電気・電子製品:10物質
自動車:4物質

「韓国RoHS=すべて10物質」と覚えてしまわないことが重要です。

適用除外もある

規制物質が含まれていれば、必ず不適合になるわけではありません。

法律では、製品の特性上、有害物質を除去できない場合や代替物質がないと認められる一定の場合について、施行令で例外を設ける仕組みがあります。

また、研究・開発目的や輸出目的などについても、法令上の適用関係を確認する必要があります。

確認の順番

① 対象製品か
↓
② 規制物質・基準値に該当するか
↓
③ 適用できる除外規定があるか

したがって、分析で規制物質が検出された場合でも、直ちに「不適合」と判断するのではなく、適用除外を含めて確認することが重要です。

韓国RoHSへの適合は、どう確認する?

製造業にとって実務上重要なのは、「何を調べれば適合を確認できるのか」です。

部材・材料の確認
↓
サプライヤー情報の収集
↓
規制物質の含有情報を確認
↓
不足データを特定
↓
必要に応じて分析
↓
適用除外を確認

すべての部品について、最初から一律に分析試験を実施するとは限りません。

既存の材料情報、サプライヤーからの含有化学物質情報、試験報告書などを確認し、不足しているデータやリスクの高い材料について分析を検討するのが実務的です。

分析する場合は「材料単位」が重要

韓国RoHSでは「同一物質」を基準として含有量を判断するため、分析を行う場合も、完成品を丸ごと測定するのではなく、対象となる材料を適切に切り分けることが重要になります。

  • 樹脂
  • 金属
  • はんだ
  • コーティング
  • ケーブル被覆
  • 接着剤
  • その他の均一な材料

特にフタル酸エステル類は樹脂やケーブルなどに使用される可能性があるため、材料構成を踏まえた確認が必要です。

EU RoHSの試験結果は韓国でも使える?

これは日本企業にとって実務上重要なポイントです。

韓国RoHSの電気・電子製品における規制10物質と基準値は、EU RoHSと非常に近い構成になっています。

そのため、すでにEU RoHS向けに次のような資料を整備している企業では、それらを韓国向け適合確認の基礎資料として活用できる可能性があります。

  • 材料情報
  • 含有化学物質情報
  • RoHS試験報告書
  • サプライヤー証明
ただし、「EU RoHS適合=自動的に韓国RoHS適合」という意味ではありません。
対象製品、適用除外、材料の考え方、韓国側で必要となる対応などは別途確認する必要があります。

日本企業は韓国輸出前に何を確認すればよい?

韓国へ電気・電子製品を輸出する場合、次の順番で整理すると分かりやすくなります。

STEP 1 製品を特定する

製品名、用途、電気・電子製品としての機能、韓国での販売形態などを整理します。

STEP 2 韓国RoHSの対象製品か確認する

施行令に基づき、有害物質使用制限の対象となる製品かを確認します。

STEP 3 規制物質を確認する

電気・電子製品の場合は10物質、自動車の場合は4物質というように、製品区分に応じた規制物質を確認します。

STEP 4 材料・部品情報を確認する

サプライヤーから取得した材料情報や含有化学物質情報、既存のRoHS試験報告書などを整理します。

STEP 5 不足しているデータを確認する

情報が不足している材料や、規制物質含有の可能性がある材料を特定します。

STEP 6 必要に応じて分析する

必要な材料について、対象となる規制物質の分析を検討します。

STEP 7 適用除外を確認する

規制値を超える物質が使用されている場合には、適用可能な除外規定がないか確認します。

TICNOLOGY JAPAN VIEW

韓国RoHSで重要なのは、「EU RoHSの韓国版」とだけ理解しないことです。

確かに電気・電子製品の規制10物質と基準値を見ると、EU RoHSとの共通点は非常に多くあります。そのため、EU RoHS対応で蓄積した材料情報や試験データを活用できる可能性があります。

一方で、韓国の制度は「電気・電子製品及び自動車の資源循環に関する法律」という、より広い資源循環制度の一部です。対象製品、除外、適用除外、自動車への規制など、韓国独自の制度設計があります。

製品を特定する
↓
韓国RoHSの対象か確認する
↓
規制物質・基準値を確認する
↓
既存のEU RoHS資料を確認する
↓
不足するデータのみ追加確認・分析する

特に複数国へ製品を輸出している企業では、国ごとに試験をゼロから繰り返すのではなく、既存の材料データや試験結果を整理したうえで、各国規制との差分を確認するという考え方が重要になります。

TICnology Japanでは、製品構成、対象市場、既存のRoHSデータなどを整理したうえで、韓国RoHSを含む各国規制への対応方法や、必要な場合の試験・調査を含めた対応先の検討をサポートします。

まとめ

韓国RoHS(K-RoHS)は、韓国の「電気・電子製品及び自動車の資源循環に関する法律」を中心とする有害物質使用制限制度です。

電気・電子製品については、鉛、水銀、六価クロム、PBB、PBDE、DEHP、BBP、DBP、DIBP、カドミウムの10物質が規制され、カドミウムを除く9物質は0.1%以下、カドミウムは0.01%以下が基準となっています。

EU RoHSとの共通点は多く、既存のEU RoHS対応データを活用できる可能性があります。しかし、対象製品や除外、適用除外、自動車の扱いなどは韓国独自の制度に基づいて判断する必要があります。

韓国向け製品については、単に「RoHS 10物質を分析する」のではなく、対象製品の確認から既存データの活用、必要な分析の判断までを一連の適合確認として考えることが重要です。

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韓国向け電気・電子製品について、製品構成、対象市場、既存のRoHSデータなどを整理したうえで、韓国RoHSへの対応、必要な調査・分析を含む対応方法・対応先の検討をご相談いただけます。

参考資料
韓国 国家法令情報センター「電気・電子製品及び自動車の資源循環に関する法律」
韓国 国家法令情報センター「電気・電子製品及び自動車の資源循環に関する法律施行令」
韓国 国家法令情報センター「電気・電子製品及び自動車の資源循環に関する法律施行規則」
同施行令 別表1の2「有害物質の含有基準」
同施行令 別表2「有害物質の含有基準の例外」

情報基準日:2026年10月8日

本記事は韓国RoHS(K-RoHS)および関連法規に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、個別案件に対する法的助言を構成するものではありません。実際の対応にあたっては、最新の法令、施行令、施行規則、告示および対象製品・取引条件等をご確認ください。

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