オランダを本拠とするTIC企業Kiwa Groupは2026年8月28日、CSA GroupのTesting, Inspection and Certification(TIC:試験・検査・認証)事業をKiwa Groupに組み入れる契約を締結したと発表しました。
Kiwaは35カ国以上、200以上の拠点で事業を展開し、2025年の売上高は16億5,520万ユーロ、従業員数は12,691人。
一方、今回の取得対象となるCSA GroupのTIC事業は、12カ国に20の専門ラボを持ち、約2,100人の従業員、約11,000の顧客を抱えています。
公表された取引の企業価値は13億ユーロです。
Kiwaの現在の事業規模と比較しても、対象事業の従業員数はKiwaの約6分の1に相当します。
今回Kiwaが取得するのはCSA Group全体ではありません。規格策定を担うCanadian Standards Associationは対象外で、独立した非営利組織として活動を継続します。
なお、取引の完了にはCanadian Standards Associationの会員承認、規制当局の承認などが必要で、両社は今後数カ月以内の完了を見込んでいます。
Kiwa――売上高16.6億ユーロ、従業員1万2,000人超のTICグループ
まず、取得する側のKiwa Groupを見てみましょう。
Kiwaはオランダに本拠を置くグローバルTIC企業です。
Testing、Inspection、Certificationに加え、Assurance、Training、Consultancy、Data Servicesなどを展開しています。
その起源は1948年、オランダの水道会社によって設立された検査機関にあります。
現在では建設、エネルギー、飲料水、ヘルスケア、食品・農業、製造業など幅広い分野で事業を展開しています。
Kiwaの2025年ESG Reportによると、2025年の売上高は16億5,520万ユーロ、年末時点の従業員数は12,691人。
事業地域は35カ国以上、拠点数は200を超えています。
また、Kiwaは2021年からオランダの非上場企業グループSHVの傘下にあります。
CSA GroupのTIC事業――12カ国20ラボ、約2,100人
今回Kiwaが取得するCSA GroupのTesting & Certification事業は、カナダ・トロントを本拠としています。
公式発表によると、事業規模は次のとおりです。
・12カ国で事業を展開
・20の専門ラボを運営
・従業員約2,100人
・顧客約11,000社
・米国でOSHA認定NRTLの地位を保有
・カナダでSCC認定を保有
北米を主要市場の一つとしながら、欧州、アジアでもTesting & Certificationサービスを展開しています。
NRTL
Nationally Recognized Testing Laboratory。米国労働安全衛生局(OSHA)が認定する試験機関制度です。
また、SCC(Standards Council of Canada:カナダ規格審議会)は、カナダの国家的な標準化・認定制度を支える機関です。
CSAマークは、北米向けに製品を展開する日本の製造業にとっても馴染みのある認証マークの一つです。この約2,100人のTIC事業が、今回Kiwa Groupに加わることになります。
取引の企業価値は13億ユーロ
Kiwa GroupとCSA Groupが公表した今回の取引の企業価値は13億ユーロです。
対象となるのは、CSA Group Testing & Certification Inc.を中心とするTesting, Inspection and Certification事業です。
Kiwaの2025年売上高が約16.6億ユーロであるのに対して、今回公表された取引の企業価値は13億ユーロです。
売上高と企業価値は異なる指標であり、両者を単純に比較することはできません。
一方、人員規模を見ると、Kiwaの12,691人に対してCSA Groupの対象TIC事業は約2,100人です。
単純合算では約14,800人となります。
Kiwa 12,691人
+
CSA TIC 約2,100人
Kiwaにとって、今回の取引が事業規模を大きく拡大する案件であることが分かります。
重要なのは「CSA Group全体の買収」ではないこと
今回のニュースで注意したいのが、取引対象です。
一般に「CSA」と聞くと、CSA規格やCSAマークを思い浮かべる人も多いでしょう。
しかし、CSA Groupには大きく分けて、
Canadian Standards Association
Testing & Certification
があります。
今回Kiwaに加わる予定なのは、CSA Group Testing & Certification Inc.を中心とする後者のTIC事業です。
規格策定を担うCanadian Standards Associationは取引対象ではありません。
Canadian Standards Associationは取引後も会員制の非営利組織として独立して存続し、規格策定を継続します。
CSA規格を策定する組織そのものをKiwaが取得するわけではありません。
なぜ規格策定とTesting & Certificationは分かれているのか
ここは、TIC業界を理解するうえでも重要なポイントです。
規格策定機関は、安全性、性能、品質などについて規格を開発・維持します。
一方、Testing & Certificationでは、製品等が要求される規格や基準を満たしているかについて、試験、評価、認証などを行います。
規格を策定・維持すること
↓
製品がその規格等の要求を満たしているか試験・認証すること
は異なる役割です。
今回の取引では、このうちTesting, Inspection and Certification事業がKiwa Groupに加わります。
規格策定を担うCanadian Standards Associationは独立して残るため、今回の案件を単純に「KiwaによるCSA買収」と理解すると、実際の取引構造とは異なります。
北米・欧州・アジアをまたぐ事業体制へ
今回の取引について、KiwaとCSA Groupは、それぞれの地域的な事業基盤について説明しています。
Kiwaは欧州を中心に事業を展開しながら、北米、アジア、オーストラリアでも事業を拡大しています。
一方、CSA GroupのTIC事業は北米に確立された事業基盤を持ち、アジアと欧州でも事業を展開しています。
欧州を中心に
北米・アジア・豪州へ展開
北米を主要基盤に
アジア・欧州にも展開
両社は、この組み合わせによって北米、欧州、アジアにおいて、顧客の市場アクセスを一つのパートナーから支援できるようになると説明しています。
Kiwa Group CEOのLuc Leroy氏も、CSAのTIC事業が持つ技術的専門性、長期的な顧客関係、信頼されたマークなどについて言及しています。
これはTICサービスを利用する製造業にとっても関係する部分です。
製品を海外市場へ投入する場合、国・地域によって適用される規制や規格、必要となる試験・認証が異なる場合があります。
今回の発表では、北米・欧州・アジアをまたぐ市場アクセス支援が、両社の組み合わせによる特徴の一つとして示されています。
13億ユーロ、約2,100人、20ラボ
今回の取引を数字で見ると、Kiwaは売上高約16.6億ユーロ、従業員12,691人。そこに約2,100人、12カ国20ラボ、約11,000の顧客を持つCSA GroupのTIC事業が加わることになります。
企業価値は13億ユーロです。
そして今回の取引で押さえておきたいもう一つのポイントが、CSA Groupの「規格策定」と「Testing & Certification」が分かれることです。
規格策定を担うCanadian Standards Associationは独立して存続し、Kiwaに加わるのは試験・認証を中心とするTIC事業です。
KiwaとCSA Groupは、この組み合わせによって北米、欧州、アジアにおける市場アクセス支援を強化すると説明しています。
TIC業界では企業の規模だけでなく、どの地域で、どの試験・認証能力を持ち、どの市場へのアクセスを支援できるのかも重要な事業基盤です。
13億ユーロという取引金額と、約2,100人・20ラボという対象事業の規模。2026年のTIC業界における注目すべきM&A案件の一つとして、今後の動向が注目されます。
本記事は、2026年9月2日時点で確認できるKiwa Group等の公式公開資料をもとに整理しています。
取引条件や今後のスケジュール等については、今後の公式発表をご確認ください。
情報基準日:2026年9月2日
Kiwa Group, CSA Group Testing & Certification to become part of Kiwa Group, 28 August 2026
Kiwa Group, ESG Report 2025
Kiwa Group, About Kiwa
SHV, CSA Group Testing and Certification to become part of Kiwa Group, 28 August 2026
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